過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とはどんな病気?

過敏性腸症候群とは、大腸や小腸に異常がないのに慢性的な腹痛が起こったり、下痢や便秘などの便通異常が長時間続いたりすることにより日常生活に支障が出てしまう病気です。排便後に痛みが軽減されるという特徴があります。

腸の働きは自律神経によってコントロールされています。口から入った食物は胃→小腸→大腸の順に移動しながら消化・吸収され、腸の運動によって食物が(大腸の中の)直腸と呼ばれる部位まで運ばれると便意が起こります。この間に自律神経のバランスに乱れが生じると腸にけいれんが起こり、腹痛や下痢、便秘などの症状が引き起こされます。

自律神経のバランスをが乱れる原因の1つは、過度な緊張や不安などといったストレスです。こころと体は深くつながっているので、強いストレスを感じると腸のぜん動運動に異常が生じ、下痢や便秘の症状が引き起こされるのです。

過労や睡眠不足によって体に疲れが溜まったり、不規則な食生活が続いたりしても、体がストレスを感じ、腸のぜん動運動に異常が生じることがあります。治療により症状を改善させることも大切ですが、同時に原因となっているストレスを軽快させる工夫を図ることも重要です。

日本人の20人に1人が、人生に一度は過敏性腸症候群を経験するとの報告があります。

過敏性腸症候群の症状は、次の3つのタイプに分類されます。
いずれのタイプも、強いストレスを感じたときに症状が悪化しやすいことが特徴です。
男性では下痢型、女性では便秘型が多くみられます。

下痢型

激しい腹痛と水っぽい下痢が特徴です。下痢型では、ストレスなどが原因で腸のぜん動運動が過剰になり、水分の吸収が進まないまま排便が起こるため、水っぽい便が多くなります。

便意を突然感じることが多く、便意が心配で外出が難しくなる場合もあります。また、「外出中に急に便意がおそってきたらどうしよう」といった不安が、さらに病状を悪化させてしまうこともあります。

便秘型

排便時に腹痛が起こり、強くいきまないと便が出なかったり、コロコロと小さな便しか出なかったりして、残便感が続くことが特徴です。

緊張やストレスにより腸がけいれんを起こし、腸の中で便が停滞しやすくなることが原因であると言われています。腸に長く停滞した便は水分を奪われ、コロコロとした便になります。

便秘によるお腹の張りや不快感、食欲低下などに悩まされたり、ガスが出やすいことに不安を感じたりする人が多いです。

交代型

激しい腹痛とともに、下痢と便秘を交互に繰り返します。

WEB予約はこちら
スマートフォン・タブレット・PCから24時間ご予約いただけます

生活習慣の改善

まずは、日々の食事の内容を見直し、腸に負担の少ない食事に変えることから始めましょう。
下痢でお悩みの方は、辛みが強い食べ物や油分が多い食べ物など、腸に負担のかかる食事を控えましょう。乳製品やアルコールも下痢を引き起こしやすいため、体に合わないと感じたときは摂取量を減らすことをお勧めします。
便秘でお悩みの方は、刺激の強い食べ物を避けると同時に、便が固くならないように水分や食物繊維を十分に摂ることを心がけましょう。

薬物療法

薬物療法により症状を和らげることができます。生活習慣の改善と同時に取り組むとより効果的です。

イリボー®(ラモセトロン塩酸塩)
イリボーは下痢型の過敏性腸症候群に使用されるお薬です。腸のぜん動運動を亢進させるセロトニンという神経伝達物質の働きを抑えることによって、下痢や腹痛、腹部の不快感を改善する効果があります。

コロネル®(ポリカルボフィルカルシウム)
コロネル®は過敏性腸症候群の治療によく使用される整腸剤です。腸内で水分を吸収・保持し、便の固さを程よい状態に整えることによって便通を改善します。下痢にも便秘にも効果があるため、下痢型、便秘型、混合型のいずれのタイプにも使用できます。

漢方薬
便秘型の過敏性腸症候群には、桂枝加芍薬大黄湯大建中湯などの漢方薬が処方されます。桂枝加芍薬大黄湯はストレスによる胃腸機能の低下を改善する桂枝加芍薬湯に便秘を改善する大黄を加えた漢方薬です。体力がない冷え性の人には、大建中湯が有効です。体力の低下を補う人参(ニンジン)と膠飴(コウイ)に加えて、体を温める山椒(サンショウ)と乾姜(カンキョウ)が含まれています。
下痢型の過敏性腸症候群には、半夏瀉心湯などの漢方薬が処方されます。みぞおちがつかえてお腹がグルグルと鳴り、軟便が続く症状に適します。似たような症状であっても、体質により適した漢方薬が異なる場合があります。医師へご相談ください。

心理カウンセリング
過敏性腸症候群の原因の1つがストレスであることからもわかるように、過敏性腸症候群はこころと体の不調であると言えます。お薬で症状の改善を図ると同時に、カウンセリングでストレスの対処法などを身につけることは、症状のさらなる悪化や再発の予防に役立ちます。
*カウンセリングの効果の感じ方には個人差があります。

過敏性腸症候群から潰瘍性大腸炎やクローン病などの腸の病気が起こりやすくなるとの報告があります。
過敏性腸症候群と診断され、治療中であっても、便に血が混じる、急に体重が減ったなどといった症状が現れたときは消化器内科や胃腸科へ相談されることをお勧めいたします。

WEB予約はこちら
スマートフォン・タブレット・PCから24時間ご予約いただけます